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とある蛇足の思考実験(ゲダンケン)

思考実験(gedankenexperiment)。テレビ放映された「とある」シリーズをベースにあれやこれやといろいろと妄想を膨らませてみるBlog。

   

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3日間も意識不明

 記憶抹消作業の当日昼間、ステイルさんたちがインデックスさんの様子を見に来る場面。
・・・小萌先生、意識がないはずの上条さんの名前呼んでますね・・・インデックスさんとの会話が外に聞こえてたんでしょうか。すると電話なんかの声、隣近所に筒抜けですね。それでも周囲に反応が見られないことから、留守もしくは普段から騒がしい人なのでしょうか、先生。

ところで、シナリオ的な小道具として、この3日間の意識不明状態は大きな意味を持ちます。時間設定を決めておきながらどうしようもない理由でどんどん追い詰められていくさまを描いています。
ですが、さすがに3日間も意識不明というのは・・・確かに相当(主にボディを)ボコられましたが、逆に目立った外傷もなく、頭にもそれほど(流血しない程度に)怪我を負っていませんから、傍目には違和感を禁じ得ません。発見し処置をした小萌先生にしてもそうです。荒事慣れしていたとしても、医者でも無いので状態はわからないはず。おまけに意識不明です。むしろ、体の内側がやられているんじゃないかと疑うのが普通ではないのでしょうか。特に頭が・・・。
喧嘩と言うのはアマチュア同士がするものですし、プロであっても、当人たちの思惑以上に肉体がダメージを受けることはままあることです。しかも、あの時上条さんは(周囲は知りませんが)死に物狂いでした。攻撃を受けたときに「受身」のような防御を成立させていた可能性もあります。ですが、失神しているのです。
相当深刻な疲労という可能性もありますが、上条さん、かなりの体力です。後にはどれだけ走り回った、というくらい走ってもケロッとしています。その点は小萌先生も把握してるはずなので、この昏倒は結構心配するところだったと思うのですが・・・。
ステイルさんたちが魔法で眠らせたと言う可能性もありそうですが、その場合、儀式の当日昼に目が覚めてはむしろ意味がありません。眠らせるなら一週間程度は眠っていてもらい、粛々と儀式を済ませるほうが良い選択のはず。ただ、インデックスさんがいますから、魔法ならばなんとしてでも解呪していると思いますけどね。
不自然なのは、このとき病院に連れて行かなかったこと。上条さんが昏倒していた場所が道路だけに、相当衆目も集めていたはず。あえて自室に連れ帰ったことから考えると、答えは一つしかありません。上条さんたちのことを思い遣って、事を穏便に済ませようと言う小萌先生の判断です。
ですが同時に、昏睡中の上条さんを見て心配になるのも道理です。もちろんインデックスさんが噛り付くように看病していたのもあると思いますが、それが病院へ連れて行こうという選択肢を後押しする可能性だって高いはずです。これはもう、上条さんの寝言が素敵だったとしか考えられません。

また、神裂さん、止めを刺したり接収したりしなかったこと、電話で上条さんに「別れを告げろ」と言いつつも「悪足掻き」を止めるどころか唆すような口振りだったこと、儀式10分前にまた別れの時間を与えていることなどから、随分と揺らいでいることが見て取れます。演出的には追い込みでしかないのですが、神裂さんの心中が複雑だったことは間違いありません。命懸けで説得した甲斐がありましたね、上条さん。
ステイルさんについても、道路での戦闘を静止するように割り込んだり(その後神裂さんの説得があったのかもしれませんが)、儀式当日昼に様子を見に出向きながらも引き下がったり、あろうことか大事な霊装を幻想殺しの目前に晒してみたりと、かなりセンチメンタルになっている模様。
二人にとっては、この作業そのものが当惑の元凶なのでしょうね。
二人が上条さんを「足枷」として扱うつもりだったかどうかは疑わしいです。神裂さんと上条さんの交渉の言葉が、かなり二人をぐらつかせたのは疑問の余地もありません。必死に上条さんを庇おうとするインデックスさんの姿に、咄嗟に思いついた方便であった可能性もあると思います。もちろん、インデックスさんには、自身の肉体の変調もあって、逃げることは出来なかったわけですが。二人が様子を見たかったのは、むしろ小萌先生の部屋の内部なのかもしれません。魔術儀式にとって、場所や有様というのはかなり意味を持ちますから。

また、日が暮れるまで上条さんが行動しなかったのは、恐らく現状を理解し方策を練っていたためだと思われますが、それが失神の影響を受けていただろう事は想像に難くありません。神裂さんの電話を受けて、結果的に大きな引き金になるのですが、ここで上条さんがもし早めに動いていたら、やはり少々面倒になります。科学的権威のある研究者や医者と繋がってしまえば魔導書の内容が拡散する恐れがあります。自然、インデックスさんも貴重なサンプルと化していたでしょう。しかも、仕掛けが魔術結界だったのですから、ただ事では済まなかったことも容易に予測できます。この時間の切り詰めも、そういった科学分野への働きかけを強引にカットする為のものだと思われます。状況が切迫した上で病院からにべも無い応対をされたのは、ある意味幸運でした。下手をすればあの病院、跡形もなく吹き飛んでいたかもしれません・・・。
次回は、予告の上条さんの台詞のとおり、小萌先生の部屋が果てしなく広がります。時間も、スローモーションが多くて引き伸ばされていますね・・・ヨハネのペンの台詞が音速を超えていそうな勢いですが、そこはそれ、情景描写として、細かい計算は控えさせていただこうかと思います。
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トータル・リコール

 神裂さんが最初に、インデックスさんの完全記憶能力について解説するところですが、これは恐らく、嘘です。

「街路樹の葉っぱの数から、ラッシュアワーであふれる一人ひとりの顔、雨粒の一滴一滴まで~」

人間の脳の機能や心の仕組みなど、現在でも未解明の部分に入る上に、その能力の特殊事例ですから、随分と憶測が混じってきてしまうのですが、「完全記憶能力」というのは、単に記憶が細かいとか多いとかそういう問題に絞りきれません。簡単に言うと、感覚、記憶、想起の3つが綯い交ぜになっていると言えます。
例えば「雨粒の一滴一滴」が本当ならば、超人的な動体視力が必要になります。劇中でインデックスさんが、際立った動体視力を発揮する場面はありませんし、いくらなんでも微速度撮影の領域にまで人間が入り込むと言うのは・・・些か。もしそうなら、目を見張るべき特殊技能になるはずです。
インデックスさんが記憶したのは、高々10万3000冊の本の内容です。1冊程度なら常人でも或いは暗記できるのではないでしょうか。そういった特徴を伸ばしたものに過ぎないはず。
「街路樹の葉っぱの数」というのは、恐らく人間には数えられません。葉っぱと言う葉っぱを落とし、丸裸にしてから一枚ずつカウントしない限り、です。普通に街路樹を見た人間は、街路樹全体(または一部)の曖昧な映像と、それをクローズアップしたポイント数点くらいしか認識しません。目の焦点が合わないと、葉っぱを葉っぱと認識することすら難しいはず。焦点の調節機能と言うのは案外と遅いです。つまり、何らかの形で超人的な視覚的特長を有していない限り、「街路樹の葉っぱの数」を数えることは不可能であり、数えられない以上記憶することは不可能です。
「ラッシュアワーであふれる一人一人の顔」というのは、微妙な表現です。普通にそこを通り過ぎるだけならそんなその他大勢の人間の顔は見ません。誰かと一緒ならば対話相手に注視するでしょう。ラッシュの人ごみすべての顔を「見ること」が、先ず不可能です。ただ、もし彼女が、ラッシュアワーで行き交う人の群れを観察していたなら、この文章は誤りであると言い切れなくなりますが。

全体的に、完全記憶能力が、必要以上に大量の記憶を取り込んでいるように誤解させるバイアスがかかっていると見ていいでしょう。
上条さんに、その脳の危険性を説くシーンですから、それも仕方ない。
ただ、神裂さんは「脳の85%を魔導書の記憶に使い、残された15%では一年分の記憶しか出来ず、一年経過すれば脳が記憶に圧迫されて死に至る」という大嘘を信じ込まされていますから、この完全記憶に関する解説も、ネセサリウスに吹き込まれたそのままを語っていると思ったほうが妥当です。

実際の完全記憶能力は、どうやら過去にあった出来事や会った人などを昨日のことのように思い出せる程度のものを言うようです。どちらかと言うと、完全想起能力とでも言うべきでしょうか。記憶しても、思い出せなければ仕方ないですからね。
何れにせよ、問題は科学では扱いきれない人の記憶の分野です。あまり細かいことには触れずに締めようと思います。

人払いのルーン

 以前敗走したルーン文字の意味について。リベンジです。

「人払いのルーン」と言うのが妙な表現だというのは先にあげました。間違いないです。人払いと言う意味を持つルーン文字はありません。つまり、これはルーン文字そのものを指すわけではなく、それを使った魔術の名前になります。実際に張ってあるのはオシラなどと呼ばれるルーン文字一文字で、「王国、領域」という意味を持ちます。つまり、「ここは自分の領土だ」と宣言することで「何か」を実現させているのだと思われます。この場合は、人の注意を反らし近づきたくなくするわけです。ルーン文字とも近い意味合いを持つので、それほど難度の高くない魔法に見えますね。
ただ、作品中で明確に「王国、領土」ではなく「人払い」と限定しているのには意味があるでしょう。つまり、結界などの特殊な効果を持つ空間を作ったりといった「強力な魔法」ではない、と言えます。見せ場にもあまり用いられませんし、どこか気軽に使っている風に見えます。「王国」「領域」と銘してしまってはそういう扱いは出来ないし、しないでしょう。
後にステイルさんが生詠唱するシーンがあるのですが、少なくとも一般人には効果覿面でした。どういう方法で「人払い」を免れるのかはわかりませんが、今のところ(セカンドシーズン終了時点)破られたことはないようですし、その反面、破られるような危険な場面では使用しません。いろんな意味で「邪魔者退け」でしかないのでしょう。
人払いのルーンが使われる場面は多いのですが、初出の時点では、見様によっては神裂さんが使用しているように見て取れます。しかし、後からきちんとステイルさんが登場しますし、話を聞いていたらしき演出もあります。やはりルーンを使った魔術は「ルーンの魔術師」が専門のようですね。

イノケンティウスを使用するときに貼り付けていたルーンについても補足します。
これはルーン文字二文字が描いてありますね。それぞれケン(松明或いは腫れ物)、アンサズ(神)のルーンです。イノケンティウスに相応しいチョイスですね。
二文字あわせてイノケンティウス自身を表していると言う解釈も出来そうですが、そうすると不規則に何枚も貼り付ける説明がつかなくなります。以前触れたように、ルーン自体がダメ押し的に重複して描かれるものだったこと、その一部を幻想殺しで剥がしても魔法に影響がなかったことから、魔法陣のような微妙な歪みですら大きな障害となる繊細な儀式の一部ではなく、大量に使用することで術士の魔法を増幅する用途であるとするのが正しいでしょう。ルーンも必要ですが、つまるところはステイルさん自身が魔法の最大のキーであると思われます。

本題とは外れますがもう一つ。
以前イノケンティウス使用中はステイルさん、滅多に魔法を使わないと言いましたが、例のお話で見事にイノケンティウスと紅十字の挟撃で上条さんを追い詰めてましたね・・・迂闊。
後の展開でも、稀にステイルさんは複数の魔法を同時に使います。詠唱自体を同時に行うのではありませんが、他の魔法の発動中に別の魔法を使うことがあります。特に一つに集中する必要が無いのかまでは今のところわかりませんが、少なくとも目立った連射を行うことはないようです。連続詠唱の必要性がないからかもしれませんが、・・・まぁ、そういう高等技術は後々の見せ場のために伏せておくに越したことは無いですね。

第三話・それぞれの思い

 今回はややBlogの主旨から逸れがちな内容でもあり、かなりの長文になるので軽く隠します。

異文化コミュニケーション

 回復が終わって、翌朝。小萌先生が出掛けて、インデックスさんのカミングアウト大会です。
ここでいきなり、小萌先生が魔術をもう使ってはいけない、という話が飛び出します。どうしても禁じ手にしたいのですね。まぁ、先ほどの魔術はあまりにも威力が高すぎました。瀕死の重傷を負っても10分そこらで完治されていては、傷を負うこと自体の意味がなくなってしまいますしね。物語開始間も無く、負傷の意義をなくしてしまうことは、戦闘の緊迫感そのものを殺してしまいますから、当然といえば当然の措置です。
しかし、ここでのインデックスの解説は、手心を加えていると考えるべきです。本人の意向としても、これ以上人を巻き込みたくは無いはずですし、対話相手の上条さんにしても同意見だと確認していますし。
なので、「魔法のような異文化を取り入れることが毒」というのは、方便であると捉えるのが正確かと思います。ストーリー的には、魔法は魔法使いが使うもの、超能力は超能力者が使うもの、として奇麗に整理する狙いがあります。個性化、キャラクタライズですね。
よって、「魔導書を読むだけで脳やら神経やらが焼き切れる」というのは恐らく、嘘です。
なぜそれが嘘なのか、なぜそんな嘘をつくのか。
先ほども挙げたとおり、意外な戦闘力の発現を防ぐためですね。科学サイドと魔法サイド、奇麗に分かれていてもらわなくては厄介になるのです。これを明確にルール化することで、アレイスター本部長や土御門さん、エリスさんの存在を、より異質化させることが出来るからです。彼らは科学と魔法の融合をそのまま行おうとしているわけですから。表側である上条さんのシナリオ上で、黒幕と同じ行動を採らせることは、無用な手間を生んでしまいます。
もちろん、これはストーリーテラー側の思惑に近い解釈ですが、インデックスさんや上条さんも、当面は小萌先生を巻き込むことの否定、また、インデックスさんを目立つ場所に立てることの回避にも繋がります。ここで魔法と科学を混交させてしまえば、当然予測もつかない事態に陥り、手に負えなくなって学園都市の住人を次々に巻き込む破目になることは、朧ながら予想できることですし、そうなれば当事者に近いインデックスさんに注目が集まってしまいます。インデックスさんにしてみれば、自分自身のために周囲に争いを誘発する行動に他なりませんから、もし上条さんが魔法と科学の融合に興味を持ったとしても、断固拒否したはずです。
つまり、二人とも、穏便に済ませたいわけです。
よって、各人とも、魔法と科学については思うところあれども、とりあえずは筋が通りそうな理屈があるだけで充分なのです。それが真実である必要性はなく、同時に、相手の善意を信じていることになります。
また、「魔導書を読むと脳やら神経やらが焼き切れる」というのは、ストーリー上で度々登場する表現ですが、これも方便であるとしても大丈夫でしょう。そのあたりはセカンドシーズンで闇咲さんが挑戦していますので、その機会にでも譲ろうと思います。

魔導書を危険なものとして認識させるための方便として、そういう表現がなされるわけですが、インデックスさんから魔導書を奪い取る行為自体、危険な行動そのものなので、警告する価値は当然あるでしょうね。
ありきたりな表現をすれば、魔導書を手に入れて読んだとしても、また長い時間をかけてどういう手段を用いて研究しても、魔法を真の意味で執り行うことは出来ないでしょう。ほとんど無理なのです。
インデックスさんが「文化」という言葉を使っていましたが、いい表現だと思います。
どんなに言語を勉強しても、渡航して住み暮らし、衣食住といった"文化"に馴染もうとも、人間には絶対に獲得できないものがあります。そういう意味での文化なのだと思います。それはつまり、その国で誕生し、成長したことではじめて備わる、幼児体験のようなものです。その体験に基づいてその国の"文化"を味わい、言葉や表現に表しきれない「ニュアンス」のような経験。それを十年以上、若々しい脳に蓄積してきたという高い高い壁。その村その町、その国で生まれ育った人ならば当然持ち備えているのに、異邦人には絶対に得られないもの。・・・そういった「基礎概念」がないと、魔法の真価を現すことは不可能なんだと思います。
まぁ、そういったものを緻密に説明することも或いは可能なのかもしれませんが、副産物として安易な外国人差別がついてくるので、出版物では避けたほうが賢明でしょう。
ただ、魔法の真似事をするだけでも、ある程度の「それっぽい効果」は出せるかもしれません。でも、それはプラシーボ効果に近くなり、他の解釈で説明できてしまう程度のものに矮小化されているはずです。同時に、そんなことを物語り上でやってしまっては、魔法というもの自体の威力を疑わしくしてしまい、その再確認のために余計な回り道をしなければなりませんから、エピソードとして登場することはないのではないでしょうか。
例外はあります。「魔法」というものの原理を知り、儀式そのものを論理的に解決できるほどの人物ならば、魔法をかなりの精度で再現できると思われます。それは別名「魔導師」です。この場合、魔導師は魔法を再現しているというより、魔法を創り上げていると言ったほうが正しいでしょう。まぁ、別格です。ずっと先でそれと思しき人物が登場しますが、果てさてどれほどの腕なのでしょうか。

このように、「魔導書を読んではいけない」という解説には、相当ぶっちゃけた長い時間が必要になります。
そのため、方便を使うことでそれを回避しているのでしょうね。

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HN:
精神毒
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自己紹介:
 精神毒(Platonic-Poison)。神経毒ではありませんからご心配なく。勿論ただのハンドルネームなので、思いつきで変えるかも。
 「とある魔術の禁書目録(インデックス)」「とある魔術の禁書目録(インデックス)II」について書くつもりです。「とある科学の超電磁砲(レールガン)」についても触れるつもりですが、どこまで書くのかはわかりません。
 アニメ版限定でお送りします。ライトノベルや他のメディアミックス関連には触れないつもりです。また、極力他サイトの情報は(アニメ版より早く知るとつまらないので)読まない方針です。
 ちなみに、フィギュアは要らない派です。

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