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とある蛇足の思考実験(ゲダンケン)

思考実験(gedankenexperiment)。テレビ放映された「とある」シリーズをベースにあれやこれやといろいろと妄想を膨らませてみるBlog。

   

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第三話・それぞれの思い

 今回はややBlogの主旨から逸れがちな内容でもあり、かなりの長文になるので軽く隠します。

 インデックスさんの視点。
彼女は極力人を拒みたい反面、誰かと一緒にいたいという葛藤があるように見えます。小萌先生を含めた一般人に対し て、魔法に関わるなという姿勢を改めて表明しています。権力に対する牽制も見て取れます。同時に、それらを調節しながらも上条さんに話すことで、拒絶しつ つも受け入れられることを望んでいます。
彼女なりに打ち明けたいのは、自分がイギリス正教のネセサリウス所属の魔導書図書館であるという一言だ けです。それをわざわざ長い台詞で説明するのは、その持つ意味を伝えたいこと、そして尚上条さんを試したいことからです。自身の見解も織り交ぜているとこ ろ、また方便を使っているところに、彼女の迷いが見えます。方便自体は、彼女が考案したものか、「ネセサリウス」が彼女に言い聞かせていることか、はたま た他の権力が動いているかこの時点では判別もつきませんが、彼女の気持ちというフィルターを通していることは間違いありません。話のベクトルの一つに、彼女は自身をより醜く表現していることがあります。教派の別れとそれらの闘争、その穢れの最たるものとして自身を説明しようと試みています。そしてそれに伴 う不安、上条さんの力への関心を「世界を手に入れる力」と言うことで窺い知ろうとします。つまり、上条さんが、自分を追い回す魔法使いたちと違うことを確認したかったのです。幸い、彼はインデックスさんの意図を知ってか知らずか、まったく違う解釈でもって返していますね。
そういう前提があるた め、「魔導書は処分できない」という解説は鵜呑みに出来ません。後の魔導書処分不能の説明(魔導書は燃えない本)とはまた異なりますし。魔導書の内容を教 え伝えてしまうことの説明については問題ないと思います。ただ、この説明をとことん詳細にすると小難しく湿気くさい話になりますし、そのため「魔導書の処 分は人間の精神では無理」というやや強引でシンプルな言葉に〆ます。意図としては間違いはないのですが、これは恐らく「間違っていない」だけで「真実では ない」でしょう。
どういうことなのか。では、その小難しく湿気くさい解説を僕なりにするとしましょう。
魔導書を処分したいと思う人間 は二つに大別されると思います。一つは内容を把握し、その脅威や他人に伝播することを慮る人間。もう一つは内容を知らないが、脅威・惨劇を避けるために処 分したい人間。前者につきましては、先ず書の教えがその人物の頭の中にあることが問題です。また、その力の程を僅かなり知っているため、自分がする行いに 対する恐怖や後悔があります。その思いは、別のところに力となって表れるでしょう。後者に於いては、書の偉大さについて知らないわけですから、処分するこ と自体には問題はありません。ただ、そうして脅威や惨劇を生むほどに注目されている代物でなければ、処分に至る理由が無いので、必然的に書の「シンパ」が 存在すると言えます。インデックスさんの言う「教え聞かせちゃったら意味が無い」という部分に当たります。彼らは、先ず間違いなく、焚書に対して憤り、そ の教えを新たな書に記すでしょう。その偉大さを伝え遺すために。つまり、魔導書が再現されるのです。一冊で事足りればいいでしょうが、再現書の完成度に不 満が残るものなら、一冊だった魔導書が分裂拡散することにもなります。内容を知りながらにして処分をした者の心中にもそれが表れ、何らかの形で焚書の存在 を露にしてしまうことは道理であります。
また、魔導書と言えども、何らかの研究なり活動なり、記録するべき現象なりが存在したはずです。それら を「より魔法として純粋なものに選りすぐった」ものが、魔導書となるわけです。魔導書の原典とも言うべきそれら記録研究の対象物自体は、魔導書の外に存在 したわけですから、魔導書以外の史書や叙情詩などに残っている可能性があります。魔導書自体を焼くことで、それらの再研究の機会を創出する土壌を作ってし まうのです。
魔導書は魔法の象徴と言えますが、魔法そのものではありません。魔導書の処分が不可能と言うのは、つまり、魔法と言う文化は人間一 人がどうこうしても消滅させられないという意味を持っているのです。文化を消滅させるには時間が必要です。100年程度でそれこそ戦争を仕掛けて文化を破 壊しつくしても、逆に文化を消滅させたと言う事実が残ります。幻想殺しが超能力と魔術を照明したように。それらを真の意味で根絶するにはどうしようもなく 長い時間と過酷な労力が必要になるのです。事物は象徴を破壊したところで変わるわけではない。
・・・・と、これだけ長い文章をもって説明する必要があるわけですが、当のインデックスさんにとっては、目前の快男子こそが懸念なのですから、傍論を展開する必要性などなかったわけですね。
ただ、上条さんは気付いていませんが、インデックスさんは、「禁書目録が作られた」ことに関するあらゆる情報を吐露していません。なぜ作られたのか。どう作られたのか。どこで作られたのか。いつ作られたのか。誰に作られたのか。当然、彼女がそれを語らない理由はすぐ後のシーンで語られかけます。記憶消滅作業です。何度も繰り返されているそれによって、自分がこうなった理由に関する記憶は欠落しているのでしょう。

挟む形で、神裂さん復帰しましたね。以前書いたように、恐らくインデックスさんに切り傷を負わせてしまったことのショックで露出できなかったと思われます。そして、その気持ちを悟られないような小細工に、理事会へ探りをかけていたようです。
ステイルさんたちにとっては、インデックスさんを回収し記憶消滅魔法を施すこともさることながら、よりにもよってこのタイミングで現れた、ステイルさんの力量を以ってしても退けられた「存在」こそが最大の懸案事です。情報に乏しいこの状況で、上条さんを「一派」ではないかと疑うことは適当です。彼らもまた、インデックスさんを狙う魔術結社と戦い、幾度となく下してきたはずですから。
禁書目録は、ネセサリウスが管理しているというところまでは間違いないです。ヨハネのペンや聖ジョージの結界などという大袈裟なもので封印し、一年周期で記憶を消去する、そのくせ普段は野に放っている。かなり異様な扱いです。情を容れずに合理的に扱うなら、遥か地下にでも隠匿するか、直ちに命を奪うほうが適切のはず。明らかに道具扱い以上の処遇は受けています。彼女は人間として扱いたいのです。
そして、それらネセサリウスの都合を可能な限り排除して、インデックスさんには人間らしい生活をさせてあげたいのだと思われます。恐らく、ネセサリウス自体が直接彼女を保護する状況も、あまり好ましくはないのでしょう。ステイルさん神裂さん自身も、堪えようの無い苦しみに苛まれていますし。
ただそれが、上条さんの言うように、矛盾に満ちたものであることは否定しようの無い真実です。あっさり言ってしまえば、ネセサリウスは禁書目録を手に負えていません。理想的なありようを望むには力が足りない。外部の援助を待っていたとも言えます。
というセンチメンタリズムの背面で、禁書目録は魔術的に重要すぎる代物で、権力的にも重過ぎるのだと思います。インデックスさんに語らせたところが本当なら、世界中の魔術を中和できる存在ですから、それ即ち魔法世界の否定になります。同時に、禁書目録を利用することで10万3000冊分の魔法を放てることも意味します。どちらにせよ、というよりその両面を併せ持つ禁書目録は、たかが一国家の一宗教の一部門でしかないネセサリウス程度の器に収まりきるわけがないのです。本来で言うなら、そんなとんでもない存在に「人間らしく・・・」などとは望外甚だしい。ですが、むちゃくちゃでも何でも、そうした計らいを犯してくれたお陰で、インデックスさんはとうとう上条さんに出会えたわけです、この上ない力と地位のパートナーに。
禁書目録を抱えるネセサリウスは、その権力構図に於いて途轍もなく立場が危うい状況に陥っているはずです。擦り寄ってくるものは権勢家、対峙するのも権勢家。真の理解者など見極め難きに尽きるはず。かろうじて十字教やイギリスには収まっていられるようですが、切り捨てられる危惧は付きまとっているはず。正直、禁書目録を人間扱いするために「野に放て」ていることは、ネセサリウスとしても好都合なのかもしれません。自身に近しい暗部が、いつインデックスさんを利用しようと忍び込むかわかりませんから。恐らく、そこから逃げ出す破目に陥ったのでしょう、インデックスさんは。しかし、そうなれば単身世界を敵に回す螺旋に嵌まり込むのは明白です。あらゆる組織が消去法で消えていき、絶望のどん底に落ちる。・・・記憶消滅法が採られた理由もわかる気もします。ネセサリウスですらもてあます存在です、自分で自分を抱えることなど出来ようはずがありません。
残酷な処置をとったとは思いますが、運命はそれを遥かに超える残酷さです。ネセサリウスは禁書目録に対し、半管理半監禁といった「もてあまし」そのものの関係をとり、せめて記憶を消してあげることを選んだ。このことはステイルさんや神裂さんですら知らされていません。彼らのことです、短慮に事を大きくしかねません、身近であるゆえに。少女一人のために数億を戦争に巻き込む・・・悲しいことに、上条さんがそれをし始めてしまうのですが(間接的にアレイスター本部長の思惑企図がありますが)。まぁ、ネセサリウスと言った高度に政治的役割をもつ部署、その外で行われることですから、口出しは出来ません。しかし風当りはキツいでしょうね。なぜ軟禁しておかなかった、なぜ殺しておかなかった、そういった心無い詰問、飽きるほどでしょうね。そんなことはとうにわかっている、わかってはいるが自らの感傷主義を上手く伝えることは出来ない。政治的な立場は風前の灯でしょう。まぁ、権力より一人の少女を思ったのですから、人としては好し、ですがね。体裁としては「逃げられてしまった」「居場所と安全は把握している」そして、緊急にその確保を図るべき理由を問い質すことでのらりくらりと躱しているのでしょう。
神裂さんとステイルさんに戻りましょう。
神裂さんが学園都市を束ねる理事会に接触したことで、学園都市自体の存在が表れてきています。学園都市、理事会と上条さん・・・というより幻想殺しとの関係は、実はそれほど重要ではないのですが、ひとまず都市を平和に治めるだけの存在ではなく、何かしら意図を持って動くものであることは窺い知れました。そして、その目標と計画は、若干ですがネセサリウスと非協力的な態度をとるに値するものである。まだこの時点では、若干気に障る程度の関係性でしかありませんが。物語的には・・・と言うより、水面下で学園都市とネセサリウスなりが接触を持つ伏線が張られたとみていいでしょう。
「魔術師や能力者といった類のものではない」という台詞が出てきてますね。これはたまにこの作品の中で指摘されるポイントでもあります。まだこの時点では話の合間に挟んでおく程度の小ネタでしかないですが、繰り返されるため、後々重要な意味を持ってくると思われます。
そして、インデックスさんたちの様子を見てステイルが思わず漏らす「楽しそうだね」という台詞。その前の神裂さんの理事会に関する疑惑の話を遮る形でそれを展開するのは、この時点でのシナリオ優先度の姿そのものですね。いろいろ背景情報を挙げながら、彼らは結局インデックスさんの幸せに執着している。立場として、ネセサリウスの中でも最もインデックスさんに親しく、哀しみながら彼女の記憶を消してきた。そしてその、記憶消滅についての罪、苦しみについて描写されると言う前触れです。本来の政治的な苦しみはネセサリウスの別の人物に預けるとして、何も知らされないまでも、彼女の記憶を消し、保護してきた、ネセサリウスの禁書目録対策の限界を表し、そして幻想殺しによるその突破を描いていこうと言うシーンです。

小萌先生については、小テストを行った夜、上条さんがシスターを背負って転がり込んできて、わかりもしない回復魔術を言われるがまま実行し、眠りに落ちたインデックスさんの世話をして、翌朝上条さんが戻ってくる。そして事情を聞き出す手始めにインデックスさんの素性を聞こうとしたら、丁重にお断りされ、気を利かせて退室。ひとまずは怪我から(なぜか)回復したっきり話もしていない二人に時間を与えました。
随分に粋なお人です。
小萌先生は、インデックスさんの負傷を直接見てはいません。見たとしても傷口が塞がった状態なので、上条さんが動転して騒ぎ過ぎだったという解釈もありえたと思います。しかし傷口と重なる位置の血痕、そんなに時間を経ていないそれは見ています。そして、効果のほどを確認し得ないとはいえ、回復魔法という体験をしているので、かなり質問はあったと思います。
どう見ても、過去の上条さんとのいきさつが、ポイントになる気がします。
質問を回避するのに「何気にカッコいいこと」を言われているので、これがその過去を連想させたのだろうことは予想できます。もしかしたら、同じような状況だったのかもしれません。そして、その経験から、上条さんがまた人助けをしようとしているのなら、それでいいのではないかと判断したのではないでしょうか。
そうでないのなら・・・―そうであったとしても、出来た人です。相当に、大人です。魔法を使ったことは心に潜め、怪我は治ったからよいとし、二人を見るに諍いはないので問題はなし、インデックスさんのことは話したくないそうなので聞き出さず、何があったのかは済んだことなので追求せず。
大人物だと思います。

最後に、上条さんの視点。
話は、インデックスさんの方から、切り出されます。話題は小萌先生についてですが、彼女は、話をし出し、上条さんが興味を持ち始めるといったんそれを区切り、「本当に知りたい?」と確認してきます。明らかに、深刻な秘密の吐露を匂わせていますし、一度「地獄から引き摺り出してやるしかない」と誓った上に回復魔術に協力出来ずで燻っているところです。この牽制もあってのことでしょう、インデックスさんの語りたいように語らせようと、しばらく相槌に徹します。が、聞いてみれば批判や卑下、そして同時に肯定するかのような口調。否定的な口調が高まっていく途中、ネセサリウスという言葉を聞き、彼女が何を打ち明けようとしているのか、察します。正直、察しが良過ぎる気もしますが・・・結果的に大当たりなのでよいのでしょう。
彼はこの時点で、何も知りません。当然インデックスさんの心中深いところの思惑など知る由もなく、単純にこの話はインデックスさんのお悩み相談という側面が強かったはずです。情報についてはいろいろと獲得できましたが、この話を聞いて上条さん自身が方向転換をすることは考えていなかったはずです。むしろ、意地でも守るものと戦う相手を変えなかったのではないかと思います。インデックスさんの言葉自体も、上条さん自身のベクトルを変えるような内容ではなかったですし、彼は権力や既成概念と言ったものに配慮するつもりはなく、ごくシンプルに自分の直面した問題に、自分の持てるだけのものをしてぶつかろうとしたいのですから。
上条さんがこの場面で重要だと感じたポイントは、インデックスさんが漸く重い口を開いたこと、彼女を追う魔法使いの思惑、彼女が10万3000冊を望んでいなかったこと、そしてやっぱりインデックスさんを傷つけた悪い魔法使いを殴りにいくことに変わりは無いこと。この4点です。結果的に、上条さんの思いを確定する形になったことは、実に幸いだったでしょう。だのに浮かない顔をしているインデックスさんを、勢いの惰性で勇気付けた挙句に、ボロを出してしまいますが・・・。

というわけで、上条さんについては暗黒魔法使いを殴りに行くぞ、インデックスさんについては上条さんが受け入れる器であったことで有頂天、小萌先生については若い二人にお任せして、ステイルさんについては憂鬱な気分で記憶消滅魔法を施す算段に思いを馳せ、神裂さんについては幻想殺しを見極めよう、というあたりで第三話の「秘密暴露」シーンが終了します。
さて、臨むは記憶消滅魔法の企みです。

ところで、どうでもいいですが、銭湯に行くシーンのインデックスさんの鼻唄、「お風呂♪お風呂♪お・風・呂♪」というメロディ、以後何度も、いろんなキャラによって使われますね。何の深い意味も無いと思いますが、声優さんたちの間で流行ったりしたんでしょうか。他の作品でもこれが出てきたりしたら、なんだか嬉しいですね。
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 精神毒(Platonic-Poison)。神経毒ではありませんからご心配なく。勿論ただのハンドルネームなので、思いつきで変えるかも。
 「とある魔術の禁書目録(インデックス)」「とある魔術の禁書目録(インデックス)II」について書くつもりです。「とある科学の超電磁砲(レールガン)」についても触れるつもりですが、どこまで書くのかはわかりません。
 アニメ版限定でお送りします。ライトノベルや他のメディアミックス関連には触れないつもりです。また、極力他サイトの情報は(アニメ版より早く知るとつまらないので)読まない方針です。
 ちなみに、フィギュアは要らない派です。

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