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とある蛇足の思考実験(ゲダンケン)

思考実験(gedankenexperiment)。テレビ放映された「とある」シリーズをベースにあれやこれやといろいろと妄想を膨らませてみるBlog。

   

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奪われた記憶

 とりあえず、書き忘れていたステイルさんが行おうとした記憶消滅の術式について、先ず補足させてください。
と言っても、たいしたことはわからないのですが。とりあえず、彼が口にする「フローリィの書」(?)というもの・・・どこか聞き覚えのあるフレーズなのですが、はっきり覚えていません・・・クロウリーの書とも聞こえないでもないのですが、クロウリーが天使召喚に関する魔法を遺したとは考えにくいですし、彼の本にはきっちりタイトルがついていたはずです。とりあえず、魔導書であることは間違いないでしょう。聖書などの類ではありません。
また、「参照」と言っているので、このときステイルさんが行おうとした魔術は、おそらくアレンジを加えたものなのだろうという予想が出来ます。
壁に描いていた図形ですが、これは六芒星の一種です。六芒星は通常、一筆書き出来ないのですが、六つの点を線で結び、形状が変化するものの一筆で描けるように考案されたのがこの図形になります。別名、獣の印。形状が異なるというのは魔術として重要で、本来の六芒星は二つの三角形が向きを逆にして交差するので、「二つのものの調和」という意味を持ちますが、速描六芒星ではその意味は薄れます。ただ、同じ六芒星なのと、大きな角が二つあることから同じ意味を残し、且つ歪ながらも「6」を象徴します。一筆書き出来ることから、図形全体が「一つ」であるという意味も忘れてはなりません。二つでありながら一つ、というところでしょうか。代表的な六芒星に、ユダヤ教のシンボルマークである「ダビデの星」がありますが、それらとは一線を画したものであることも重要だと想われます。同じように錬金術でも、「二つのものの融和」というシンボル自体を重視するので、魔術的な意味合いが強い図形と言えます。

また、若干重複するかもしれないのですが、カエル先生の台詞を聞くと、おそらくドラゴンブレスが頭蓋骨や頭皮を飛び越えて脳細胞を破壊したととれます。そもそも頭蓋骨に穴が開いていたら、いくらなんでも絶対安静です。出血も夥しいでしょうし、同時に脳全体への酸欠や副次的な損傷が危ぶまれます。勿論、スタンガンなんてものを突っ込んだら脳波に支障が出るでしょうから冗談なのでしょうが。ともかく、ドラゴンブレスは脳を保護する骨や肉を無傷で残し、当該する脳細胞だけを焼き尽くしたのだろうと思われます。カエル先生の様子からは、攻撃が一箇所に集中していただろうことも伺えます。記憶全体を抹消しようとすれば、脳のいろんな部位に攻撃を仕掛ける必要がありますが、それは行われていない模様です。頭蓋骨を飛び越えておきながら、意外と物理的な攻撃のようです。
ここで、電撃のようなもので頭蓋骨を貫通したのではないか、という疑問も沸くかと思いますが、電撃が流れた後には必ず火傷が残ります。あえて「頭蓋骨でも開けて」と言ったのはそういう意味ではないかと予想します。
こうして考えていると浮かぶのは、「魔導書を読むと脳が焼き切れる」という、このシリーズ通して使われる表現です。上条さんは魔導書を読んだわけでは無いですし、この場合は当たらないのですが、インデックスさんがそういう表現を使うということは、記憶消滅の後に残る記憶にそれがあったということになります。ステイルさんたちも確か同じ表現をしますが、彼らが実際に脳を汚染される現場を見ているとは限りません。もしかすると、これもネセサリウスが仕組んだ欺瞞だったのかもしれません。聖ジョージの聖域の最終段階で引き起こされる「記憶の焼却」を予め吹聴しておくことで、魔導書に興味を持つことを牽制していた。「真実味のある嘘」になりますから、効果は大きいのではないかと思います。

それはさておき、とうとう、病院送りが出てしまいましたね。
ここは学園都市です。当然病院も学校付属のものが多いでしょうし、おかしな怪我を負えばそういった最先端医療の研究をしている場所に送られるのは自明の理。場所はカエル先生の病院だったようですが、これで学園都市サイドに情報が流れたことは間違いありません。おまけにどうやらステイルさんたちとカエル先生が直接接触したようですし、インデックスさんも会っています。更に、この3人がIDを持たない不法侵入者であることもバレています。
情報流出という意味では、相手がカエル先生だったことは幸運だったでしょう。確かに地位のある人で理事会あたりにも迅速に情報が伝わったでしょうが、逆に小さな診療所で上条さんを持て余すことになると、病院の段階で騒動が大きくなります。もし神経質に根掘り葉掘り調査されたら、下手をすると孤立する可能性だってありました。問題が表面化すると徒に騒動の規模が大きくなるだけで、何の利も無いのです。地位があり、人格者であるカエル先生にあたったことは、この上ないラッキーでした。モルモットにされることもありませんでしたしね。

そういう意味では、インデックスさんが学園都市に潜り込んだ方法というのは、かなりのミステリーです。彼女は対魔法使い用のテクニックはあっても、魔法はこれといって使えません。侵入者としては甚だ素人であり、彼女が検問を素通りできたのは、手段はどうあれ問題と言わざるを得ません。
つまり、学園都市の警備という側面です。
そこでちょっと見方を変えてみます。前述したように、ネセサリウスは禁書目録を持て余しています。かと言って他の魔術結社に託すわけにはいきません。そんな当てがあったらとっくの昔に同盟関係を築いているでしょう。そこで、賭けになりますが、魔導書の価値のわからない学園都市へインデックスさんを追いやったのではないでしょうか。それが思うように行かず、運悪く記憶消滅作業の周期で幻想殺しにぶつかってしまった・・・という一つの仮定です。
その仮定によるなら、インデックスさんの潜入はあえて見過ごせることになるので、解決します。裏で糸を引いているのはアレイスター統括理事長なので、理事会にとって禁書目録が魅力的でないとしても、彼にとっては、一応手の内に置いておいて損をするものではありません。魔術結社に指摘しても白を切りとおせるかもしれません。かと言って、計画に直接寄与するものではないので、早急に調べ上げる緊急性はありません。
反面、インデックスさんにとってはこの上ない仮の宿です。あらゆる魔術師にとって最も攻め込みづらい場所であるため世界一安全な都市です。理事会も「とある計画」を大至急遂行中で禁書目録に関わっている暇は無く、政治的に利用される心配もありません。魔法的には「ド田舎」ということですね。そこに、警備網というおまけがついているのですから願ったり叶ったりです。
インデックスさんにとってのメリットは、大体はネセサリウスにとっても同じです。神裂さん曰く理事会と接触を図ったそうですから、そもそも繋がりを仄めかしていたと言えます。本来なら理事会とネセサリウスは敵対関係、情報の共有など以ての外のはずです。下っ端が出向いても応対してもらえそうもありません。神裂さんにしても軽率に接触など出来ないはずです。このことから、理事会とネセサリウスの間で予め話が通っていたことが窺い知れます。
理事会に話が通っているなら、アレイスター統括理事長の耳に入っていないわけがありません。何らかの積極的な働きかけはないにしても、幻想殺しと禁書目録が接触したことも知っているでしょう。まぁ、彼にとってはこの二つ、あまり重要ではない部類に入るのですが。ドラゴンスレイヤーの一撃がおりひめ1号を撃墜するのも生で見ていたのかもしれませんね。こっちは少々堪えたことでしょう。その腹いせに、これから幻想殺しを戦場に引き込むことにしたのかもしれません。
ただ、禁書目録に対して幻想殺しが相当踏み込んだことについても、ネセサリウスや理事会の反応が見られないことから、両者の結託というのはそれほどまでに強いものではないと思われます。彼らの行動計画においても優先度は高くないのではないでしょうか。ネセサリウス側は「すぐにでも連れ戻したがっていた」そうですが、あっさり引き下がっていますしね。恐らくですが、連れ戻したくなった理由は、禁書目録の結界が全滅したことからだと思われます。ですがまぁ、破壊されたのは対魔術師用の側面が色濃い結界で、しかも科学サイドにとっては禁書目録はさほど価値はないはず。手をつければもれなく政治的脅威が頭をもたげてきますから、当初の予定通り現状維持(様子見)に落ち着いたのでしょう。

そういえば、ステイルさんからのラブレター末尾に書かれていたルーンはケンでした。「松明」或いは「腫れ物」を意味します。何度も言うようですが、ルーン自体に自己消滅の意味は無く、基本的にステイルさんがかけた魔法の一部として機能しているだけです。ケンのルーンが目に触れたら起動するようにでもしてあったんでしょうね。

ですが、この爆発の後のインデックスさん、浮かない顔です。手紙の内容をすべて理解できるとは限らないはずですが、大まかなところは読み取ったんでしょうね。上条さんが自分のために入院するまでの負傷をしたと言うことを。
直後の上条さんですが、彼はこの時点で、ステイルさん神裂さんから得た情報を知っているはずです。(そういえば二人は上条さんの記憶喪失について何も知らないようですね。)インデックスさんの顔は知らないはずなので、白い修道服姿の外人さんが入ってきたのに対し「病室を間違えていませんか?」というのはごく普通な受け答えだと思います。むしろ、彼の性格からすれば、この時点で最も恐れているのは知己に会うことだと思います。出来うる限り隠し通そうと。なので、病室に来る人物がそうである確率が高いにもかかわらず、恐る恐る「俺たちって知り合い?」と切り出しました。思えば、最初のノックの後の反応が遅かったのも、そういう都合からだったかもしれませんね。彼にとって重要だったのは「私のために魔術師と戦ってくれたんだよ」だと思います。これが決定的に目の前の人物との関連性を理解せしめたはずです。その後の生返事は、故意でしょう・・・。しかし、インデックスさんも感極まって、ほぼ告白までしちゃっていますね・・・それをわかっていながらしれっと流してしまうあたりが、上条さんの今後の展開を決定付けているのかもしれません。
ちなみに、上条さんは「ドラゴンブレスが脳に影響を及ぼす前に幻想殺しでそれを無効化した」と言っていましたが、これは明確に嘘ですね。(本当にそうすればよかったのですが)上条さんはドラゴンブレスに気付かず直撃を受け、昏倒するところまで描かれていますから、間違いはないです。
そういえば、カエル先生は「記憶喪失と言うより記憶破壊」と言っていましたが、症状は記憶喪失に酷似していますね。仮にも脳みそに魔法食らったわけですから、もっと陰惨なことになっていてもおかしく無いですし、そもそもわざわざ記憶だけを消すなんて器用なことをする必要があったのでしょうか・・・。
シナリオ上でも、上条さんの記憶を奪ったことが生きてくる話は殆どありません。エンゼルフォール事件のときくらいのものです。一年周期で記憶を消されていたインデックスさんの気持ちがわかる、ということもありますが、今ひとつピンと来る解決はないですね。まだ登場させていない何かがあるのかもしれません。続編に期待するとしましょう。
上条さんの脳は、魔法によって物理的に破壊されました。勿論、一部分だけですが。自我もしっかりしているし運動機能も問題なし。情緒の乱れや言語能力の不全、奇行もありません。思考も確かですし、更に言うなら記憶力も問題なく働いているようです。本当に以前の記憶を奪われた以外何の症状も見られません。ある意味奇跡です。
過去の記憶が脳細胞ごと死んだというのに記憶力と言うのは・・・と思われるかもしれませんが、たった今会話したインデックスさんのことを覚えていますから間違いないです。仮にもし、記憶力を司っていた場所が全滅させられていても、脳と言うのは他の場所にそれら機能を移すことができます。破壊された脳の部位を棄て、新たな記憶領域を形作り始めたともいえます。この分なら今後、この攻撃の後遺症が上条さんを悩ませる心配はなさそうです。

しかし引っかかるのは、インデックスさんの「この一年の過去」です。
少なくとも350日間程度も彼女は逃避行を繰り返しているのです。すべてが逃避行であったとは限りません。ステイルさん神裂さんがよしとする保護先ならば、彼らの陰の庇護の下、滞在することも出来たでしょう。人懐っこい彼女のことですから、そういった関係性を構築する可能性は高いです。人並みに寂しがり屋でもありますしね。
逃避行と言うものは、そもそもが並大抵の精神力で出来るものではないです。それこそ強い信念や決意が無ければ長続きするものではありません。精神の消耗戦であり、篭城よりも疲弊するものです。彼女はずっとそんな戦争の中にいたことになります。
恐らくですが、彼女が自身の禁書目録に対して出来ることや、他者に協力を求めるなどは一通りこの一年のうちに試しているはずです。そしてそのどれもが上手く行かず、恩人に負傷や負債を負わせたり、または恩人に裏切られるなど、いろいろなことがあったはずです。そのどれもが悲劇であったはずです。
上条さんとの初対面の際に「教会まで行けば助けてくれるから」というのは、恐らく嘘だったと思われます。勿論、同じ宗教の信徒同士ですから、仮滞在くらいは出来たかもしれませんが、すぐにそこも出なければなりません。禁書目録について深く関われば、少なくともインデックスさんの経験上例外なく不幸に苛まれますから。
また、ネセサリウスという可能性も、恐らくこの一年間に潰えていたと思います。想像するしかないのですが、おそらく表向きにはそういう組織は存在しないことになっていたかもしれません。何れにせよイギリスまでの果てしない距離があるのですが。最も直球で庇護を求めるべき対象ですから、1、2ヶ月くらいで接触を試みたと思われます。しかし、ネセサリウスには彼女の保護は出来ないはずです。何らかの形で彼女の思いは裏切られているはずです。ステイルさんと彼女の間に接点があったのは、そうした関係上当然とも言えます。
そんな苛烈な過去を持つのですから、上条さんに対して頑なだったのは致し方ないことです。彼女にとって、協力者が禁書目録にどういう反応を示すのかは重大な関心事ですし、同時にそれを打ち明けることもその協力者にとっては災難を呼ぶ可能性がありますから。
しかし、です。
一年と言うのは短いようで長いです。常人であれば理由も無く押し付けられた逃避行にそう耐えられるものではありません。上条さんと会うまでにも、相当な人数と接触を持っているはずです。禁書目録目的の魔術結社、または善意の保護者。単純に巻き込まれた人たち。何かしらの知己とも言うべきそれらの人たちが、今後一切登場する気配を見せません。恐らく、上条さんの記憶を(シナリオ上)消したのは、それらへの言及を避けるためでもあるのでしょう。
恐らくインデックスさんにとっても嫌な思い出でしかないのでしょう。ここはそっとしておくほかありませんね。

いい加減長いので、ちょっと区切ります。いつもながら長文で申し訳ありません・・・。
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HN:
精神毒
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 精神毒(Platonic-Poison)。神経毒ではありませんからご心配なく。勿論ただのハンドルネームなので、思いつきで変えるかも。
 「とある魔術の禁書目録(インデックス)」「とある魔術の禁書目録(インデックス)II」について書くつもりです。「とある科学の超電磁砲(レールガン)」についても触れるつもりですが、どこまで書くのかはわかりません。
 アニメ版限定でお送りします。ライトノベルや他のメディアミックス関連には触れないつもりです。また、極力他サイトの情報は(アニメ版より早く知るとつまらないので)読まない方針です。
 ちなみに、フィギュアは要らない派です。

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