それにしても不思議なのは、インデックスさんの記憶を「一定周期でしか消せない」というものです。
ステイルさん神裂さんに知らされていたことはネセサリウスの欺瞞でしかなかったわけですから、記憶を消す周期自体が存在するのかどうか疑わしくなります。これはネセサリウスが任意で設定した時間のはずです。
ステイルさんが魔法の準備を始めたときに、「獅子座の力を借りて」と言いますから、そこに答えを求める遣り方もあると思います。ですが、星座と言うのはインデックスさんのいる位置によって見えるものが異なってきますから、若干難があるように思います。また、夜空に見える星座ではなく黄道12宮を使った占星術的なシンボルとも捉えられます。ですが、このタイミングを逃してしまうことは、むしろネセサリウスの危機に繋がりかねません。星座などを使った魔法の使用条件となると、何かしらの形で施術を行えなかった場合のフォローが難しくなると思うのです。それに、記憶を消滅する魔術自体は、それなりにあるはずです。
「彼女が死んでしまう」と言う凄まじい強制力をステイルさん神裂さんに与えているので、彼らは恐らくこの周期を全身全霊を持って堅持するでしょう。それはそれとして、上層部としてはそれが失敗したケースについても考慮しておくべきです。
一つの可能性として、彼女を殺してしまうつもりだったというのがあります。3層もの結界をもってして、自爆機能をもたせたわけです。当然の事ながらネセサリウスは、監視役の二人が撃破され何らかの魔術結社に囚われてしまうことも恐れていたはず。殺すまではいかずとも、心身停止や想起妨害などの保護をすることはしたほうがよいでしょう。10万3000冊をとられるまでは、恐らくですが彼女の命は保証されますから・・・。
とにかく、「一年周期」という期間については、ネセサリウスにとってはなんら拘束される理由は無いと思うのです。恐れていたのは、インデックスさんの裏切りや、彼女を組み込んだ組織が形成されること。その布陣が整う前に記憶を消すことで、監視役の二人も含めたインデックスさんの周囲の人物とのコミュニケーション不全を目論んだものでは無いでしょうか。
以前に神裂さんが言っていたことを思い出すと、インデックスさんには対魔術用結界が施されていることが予想できます。記憶操作系の魔術を無効化するものです。あの3層の結界は、そういった性質を含んでいたと思われます。或いは、あの3層の結界のほかに記憶操作妨害の施術があって、ともかくその結界が「記憶消滅魔術」に対してひと時だけ防御を限定解除するタイミングが、この「一年周期」の日なのかもしれません。
しかし今ひとつ、この周期についての記述がないので、確かなことは言えません。恐らく、インデックスさんを「作った」誰かというところに言及してしまいかねないため、今は伏せてあるのでは無いでしょうか。また多分になるのですが、インデックスさんに10万3000冊を記憶させたのはネセサリウスではないと思われます。そもそも10万3000冊を集める能力を持っていたら、インデックスさんはそれほど重要でなくなるからです。
彼女の戦略的価値や生い立ちなど、続編が楽しみになりますね。
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