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とある蛇足の思考実験(ゲダンケン)

思考実験(gedankenexperiment)。テレビ放映された「とある」シリーズをベースにあれやこれやといろいろと妄想を膨らませてみるBlog。

   

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異文化コミュニケーション

 回復が終わって、翌朝。小萌先生が出掛けて、インデックスさんのカミングアウト大会です。
ここでいきなり、小萌先生が魔術をもう使ってはいけない、という話が飛び出します。どうしても禁じ手にしたいのですね。まぁ、先ほどの魔術はあまりにも威力が高すぎました。瀕死の重傷を負っても10分そこらで完治されていては、傷を負うこと自体の意味がなくなってしまいますしね。物語開始間も無く、負傷の意義をなくしてしまうことは、戦闘の緊迫感そのものを殺してしまいますから、当然といえば当然の措置です。
しかし、ここでのインデックスの解説は、手心を加えていると考えるべきです。本人の意向としても、これ以上人を巻き込みたくは無いはずですし、対話相手の上条さんにしても同意見だと確認していますし。
なので、「魔法のような異文化を取り入れることが毒」というのは、方便であると捉えるのが正確かと思います。ストーリー的には、魔法は魔法使いが使うもの、超能力は超能力者が使うもの、として奇麗に整理する狙いがあります。個性化、キャラクタライズですね。
よって、「魔導書を読むだけで脳やら神経やらが焼き切れる」というのは恐らく、嘘です。
なぜそれが嘘なのか、なぜそんな嘘をつくのか。
先ほども挙げたとおり、意外な戦闘力の発現を防ぐためですね。科学サイドと魔法サイド、奇麗に分かれていてもらわなくては厄介になるのです。これを明確にルール化することで、アレイスター本部長や土御門さん、エリスさんの存在を、より異質化させることが出来るからです。彼らは科学と魔法の融合をそのまま行おうとしているわけですから。表側である上条さんのシナリオ上で、黒幕と同じ行動を採らせることは、無用な手間を生んでしまいます。
もちろん、これはストーリーテラー側の思惑に近い解釈ですが、インデックスさんや上条さんも、当面は小萌先生を巻き込むことの否定、また、インデックスさんを目立つ場所に立てることの回避にも繋がります。ここで魔法と科学を混交させてしまえば、当然予測もつかない事態に陥り、手に負えなくなって学園都市の住人を次々に巻き込む破目になることは、朧ながら予想できることですし、そうなれば当事者に近いインデックスさんに注目が集まってしまいます。インデックスさんにしてみれば、自分自身のために周囲に争いを誘発する行動に他なりませんから、もし上条さんが魔法と科学の融合に興味を持ったとしても、断固拒否したはずです。
つまり、二人とも、穏便に済ませたいわけです。
よって、各人とも、魔法と科学については思うところあれども、とりあえずは筋が通りそうな理屈があるだけで充分なのです。それが真実である必要性はなく、同時に、相手の善意を信じていることになります。
また、「魔導書を読むと脳やら神経やらが焼き切れる」というのは、ストーリー上で度々登場する表現ですが、これも方便であるとしても大丈夫でしょう。そのあたりはセカンドシーズンで闇咲さんが挑戦していますので、その機会にでも譲ろうと思います。

魔導書を危険なものとして認識させるための方便として、そういう表現がなされるわけですが、インデックスさんから魔導書を奪い取る行為自体、危険な行動そのものなので、警告する価値は当然あるでしょうね。
ありきたりな表現をすれば、魔導書を手に入れて読んだとしても、また長い時間をかけてどういう手段を用いて研究しても、魔法を真の意味で執り行うことは出来ないでしょう。ほとんど無理なのです。
インデックスさんが「文化」という言葉を使っていましたが、いい表現だと思います。
どんなに言語を勉強しても、渡航して住み暮らし、衣食住といった"文化"に馴染もうとも、人間には絶対に獲得できないものがあります。そういう意味での文化なのだと思います。それはつまり、その国で誕生し、成長したことではじめて備わる、幼児体験のようなものです。その体験に基づいてその国の"文化"を味わい、言葉や表現に表しきれない「ニュアンス」のような経験。それを十年以上、若々しい脳に蓄積してきたという高い高い壁。その村その町、その国で生まれ育った人ならば当然持ち備えているのに、異邦人には絶対に得られないもの。・・・そういった「基礎概念」がないと、魔法の真価を現すことは不可能なんだと思います。
まぁ、そういったものを緻密に説明することも或いは可能なのかもしれませんが、副産物として安易な外国人差別がついてくるので、出版物では避けたほうが賢明でしょう。
ただ、魔法の真似事をするだけでも、ある程度の「それっぽい効果」は出せるかもしれません。でも、それはプラシーボ効果に近くなり、他の解釈で説明できてしまう程度のものに矮小化されているはずです。同時に、そんなことを物語り上でやってしまっては、魔法というもの自体の威力を疑わしくしてしまい、その再確認のために余計な回り道をしなければなりませんから、エピソードとして登場することはないのではないでしょうか。
例外はあります。「魔法」というものの原理を知り、儀式そのものを論理的に解決できるほどの人物ならば、魔法をかなりの精度で再現できると思われます。それは別名「魔導師」です。この場合、魔導師は魔法を再現しているというより、魔法を創り上げていると言ったほうが正しいでしょう。まぁ、別格です。ずっと先でそれと思しき人物が登場しますが、果てさてどれほどの腕なのでしょうか。

このように、「魔導書を読んではいけない」という解説には、相当ぶっちゃけた長い時間が必要になります。
そのため、方便を使うことでそれを回避しているのでしょうね。

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自己紹介:
 精神毒(Platonic-Poison)。神経毒ではありませんからご心配なく。勿論ただのハンドルネームなので、思いつきで変えるかも。
 「とある魔術の禁書目録(インデックス)」「とある魔術の禁書目録(インデックス)II」について書くつもりです。「とある科学の超電磁砲(レールガン)」についても触れるつもりですが、どこまで書くのかはわかりません。
 アニメ版限定でお送りします。ライトノベルや他のメディアミックス関連には触れないつもりです。また、極力他サイトの情報は(アニメ版より早く知るとつまらないので)読まない方針です。
 ちなみに、フィギュアは要らない派です。

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